20090409
2次CRフィルタの定数設定に関する質問
【20090407】質問
二次のRCフィルタについてインピーダンスの低い方から並べた場合と、高い方から並べた場合の差は式に表れないのかも知れませんが、 擬似的に影響の有無を判定するにはどういったことを加味すればよいでしょうか?
二次のRCフィルタについてインピーダンスの低い方から並べた場合と、高い方から並べた場合の差は式に表れないのかも知れませんが、 擬似的に影響の有無を判定するにはどういったことを加味すればよいでしょうか?
次の2次CRローパス・フィルタを例にあげて解説します.(本サイトで提供している2次CRフィルタツールは,下図のLPFの他,HPF,BPFの 3種あります)
Vi(s)→ | →Vo(s) |
---(1)
仮に,下図のようにバッファを介して1次CRフィルタがシリーズに接続している系としてこの2次CRローパス・フィルタを想定して 考えてみます.(注:完全等価の系ではありません)
上図フィルタの等価ブロック線図は下図の通りです.
Vi→ | 2πfc1 s + 2πfc1 | → | 2πfc2 s + 2πfc2 | →Vo |
ここでのfc1,fc2は,ブロック線図内で仮想的に用いているパラメータです.fc1は系前段のRCフィルタのカットオフ周波数,fc2は後段の RCフィルタのカットオフ周波数です.
ここでご質問にあるように,インピーダンスの低い方から並べた場合と、高い方から並べた場合の差ということで,下表のように インピーダンスの高低および低高の条件設定をシミュレーションした結果を比較してみました.
設定 | 条件 | カットオフ周波数 | 減衰比 |
A |
R1 = 10kΩ C1 = 0.01uF R2 = 1kΩ C2 = 0.1uF |
f1 = 133.56317345[Hz] f2 = 18965.0299976[Hz] |
ζ = 6 (Q = 0.0833333333333) |
B |
R1 = 1kΩ C1 = 0.1uF R2 = 10kΩ C2 = 0.01uF |
f1 = 1161.58246566[Hz] f2 = 2180.67133927[Hz] |
ζ = 1.05 (Q = 0.47619047619) |
上記のA,Bの設定におけるBode線図を示します.【条件】A:水色− ,B:青− です.
A,Bのそれぞれの条件では,結果が異なります.Aの設定では,2つのカットオフ周波数の値が離れBode線図上で2度曲折しています. Bの設定では,2つのカットオフ周波数の値が比較的近くBode線図上では1度曲折しているように見え, 臨界減衰応答に近い設定になります.
通常2次フィルタの設定としては,できるだけ臨界(ζ = 1 あるいは fc1 = fc2) に近い条件がフィルタとしては使いやすいと思います.しかし,このフィルタでは,臨界に限りなく近づけることはできても,臨界その ものの設定にすることはできません.(バッファを介せば臨界設定可能)
そこで,なるべく臨界に近づけるためには,R1,C1のインピーダンスを小さく(R1:小,C1:大)して,R2,C2のインピーダンスを大きく (R2:大,C2:小)とすることで設定できます.
つづいて,等価ブロック線図におけるfc1,fc2 について R1,R2,C1,C2 との関係を求めてみます.2次CRローパス・フィルタの極が, fc1,fc2 に対応しますので,伝達関数 式(1)の[分母]= 0 から 2次方程式の解より求めていきます.
[記事URL] http://okawa-denshi.jp/blog/?th=2009040900
カテゴリー:フィルタ(20)
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