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20090722

PWM信号とローパスフィルタを用いた簡易D/A

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デジタルから簡易的にでも良いので,アナログの出力を1本取り出したいということが,場合によってはあるかと思います.通常デジタル からアナログへの変換は,D/Aコンバータを実装することにより行います.電子回路の機能としてアナログ出力が必要な場合は,当然この ような回路構成になる場合が多いと思います.

制御機器等の分野の電子回路で,簡易的にCPU内のファームウェア(ソフトウェア)が持つ変数を外部の物理変数とともに リアルタイムで波形観測したいという場合があります.この場合,内部変数の測定の目的のみのためにD/Aコンバータを実装するには ちょっと勇気が要ります.実験,研究用途であればそのような方法もありますが,普通はコストおよびサイズの点でメリットはありません.



そこで,PWM出力に対応したデジタルポート1本と抵抗,コンデンサ各1本で簡易的にD/Aコンバータを構成する方法を紹介します.

まず,PWM信号について,PWMは,Pulse Width Modulationの略.下図の元信号paraのようなアナログ信号を,para値に応じて図下の様な パルス幅が変化するパルス信号に変調された信号です.


アナログ回路上でPWM変調させる場合には,上図 上の三角波と元信号paraの比較をコンパレータによって行う方法があります. デジタルにおいても考え方は同様です,時間とともにインクリメント/デクリメント(増/減)させる基準(変数)を作り−上図 上の三角波と同様−, 元信号paraとの比較をデジタル的に行うものです.



アナログ回路によるPWM復調の方法は,下図のようにLPFを用いる方法が簡単です.

in
PWM
LPF out
アナログ電圧

具体的には,LPFをCRフィルタとして回路図にすると下図のようになります.
   

上の回路のCR部だけでD/Aを構成できるのですから,お手軽ですね.ただし,PWM基本周波数およびその高調波成分によるリップルを含むことに なります.PWM基本周波数にくらべて被PWM信号の周波数が充分小さい場合には,カットオフ周波数を下げてリップルを低減させることが できます.こうした一次フィルタのPWMの過渡およびリップルを算出するツールは,こちらに PWMのデューティー・ステップの過渡応答をシミュレーション公開しています のでご利用下さい.

リップルの最大理論値が算出されますので定量的に設計でき,下図のようなグラフによっても確認できます.

    PWM基本周波数:fPWM = 10[kHz]     CRフィルタのカットオフ周波数:fcut-off = 1[kHz]

LPF部は,必ずしもCR一次フィルタでなくても二次,三次以降のフィルタを使用して低リップル化することも可能です.出力にバッファ (OPアンプ)を必要とする場合には,Sallen-Keyなどのフィルタを構成しておくということも可能な方法です.



[記事URL] http://okawa-denshi.jp/blog/?th=2009072200
カテゴリー:フィルタ(20)