OKAWA Electric Design
Engineering Tool Information Blog
20090529

オペアンプ使用のフィルタ回路の電源について

  1.  前の記事
  2. 次の記事 
オペアンプを使用したアクティブ・フィルタ回路に供給する電源に絡む ご質問を複数いただいています.いずれも供給電源に片電源を 使用している状態で,実機フィルタ回路が想定していない挙動を示すという内容です.

本来,オペアンプに対して両電源の供給をすべきところ片電源で供給しているために,想定しない事象が起こっていると思われます. そのためこの記事では,サレンキー型や多重帰還型フィルタ回路の電源接続について解説します.


正帰還型

多重帰還型


これらアクティブ・フィルタ回路に供給する電源は,図中のVp,Vnのように入出力信号のグラウンド(シグナル・グラウンド) に対してプラス側とマイナス側の両電源を供給します.

あるいは,回路的には等価ですが,単電源を分圧して中間電位をボルテージ・バッファ によって低インピーダンス化して信号のグラウンドとして両電源の機能を構成することもできます.具体的には

正帰還型


多重帰還型


ここで,当然シグナル・グラウンドと電源グラウンドは共通ではありません. シグナル・グラウンドを作る分圧抵抗Ra,Rbの関係は一般的には,次の通り

  Ra = Rb

ここで注意すべき点は,この系のボルテージ・バッファで作られたシグナル・グラウンドを,入力および出力 に接続される側でも,同様に基準とする必要があります.





上記の回路は,いずれもローパス・フィルタです.ハイパス・フィルタ, バンドパス・フィルタについてもR,C素子の位置が異なるだけで電源については同様です.

フィルタ回路の電源が,片電源ではなく両電源が必要な理由は,基本的には入力および出力信号に交流を扱うためです. 片電源の場合では,片波のみ(プラス電圧のみ)の出力となり,波形が大きく歪み正確な演算ができないばかりか, オペアンプの入力電圧定格範囲を超える場合には,それが故障・低寿命の原因になる場合もあります.

入力信号に直流電圧を重畳している場合でも,ハイパス・フィルタの系の場合には,直流成分をカットして出力しますので, out側は完全な交流となります.たとえば,下記は正帰還型(Sallen-Key型)ハイパス・フィルタのステップ応答をシミュレーションして います.
R1 = 1.6kΩ
R2 = 160kΩ
C1 = 0.1uF
C2 = 0.1uF
     遮断周波数(カットオフ周波数)
  fc = 99.4718394324[Hz]
クオリティ・ファクタ
  Q = 5
減衰比ζ
  ζ = 0.1



上図Voutの塗りつぶし部分が,オペアンプとしても負の電圧出力となっていて負電圧電源からの供給が源になります.




[記事URL] http://okawa-denshi.jp/blog/?th=2009052900
カテゴリー:質問と回答(13)