20090604
カットオフ周波数の定義について
【20090603】質問
オペアンプ多重帰還型ローパス・フィルタ計算ツール を使用して計算してみた結果、R1=R2=R3=2kΩ、C1=C2=0.01uFの際のfc=7957Hzとなりました。
しかし、周波数グラフではゲインが-3dBとなる周波数(fc)が約3kHzとなっていました。多重帰還型フィルタの場合、ゲインが-3dBとなる周波数がカットオフ周波数となるのではないのでしょうか?
オペアンプ多重帰還型ローパス・フィルタ計算ツール を使用して計算してみた結果、R1=R2=R3=2kΩ、C1=C2=0.01uFの際のfc=7957Hzとなりました。
しかし、周波数グラフではゲインが-3dBとなる周波数(fc)が約3kHzとなっていました。多重帰還型フィルタの場合、ゲインが-3dBとなる周波数がカットオフ周波数となるのではないのでしょうか?
おっしゃる通り実際,本サイトのツールによって算出したカットオフ周波数は,-3dBの減衰点を必ずしもカットオフ周波数としていません.
ご質問の内容からカットオフ周波数の定義についての解説が必要かなと思いますが,ボリュームがありますので入り口だけ示しておきます. カットオフ周波数は,制御工学の分野における伝達関数/補償器の固定周波数に定義の裏付けを求めることができます.
こちらは,固定周波数の解説
リンク先では固定周波数に関する簡単な解説をしています,フィルタを伝達関数としての数学モデルに置き換え,さらに伝達関数を構成する 固定周波数がフィルタでいうカットオフ周波数になります.
カットオフ周波数の定義に絡む数学的な基礎部分の解説は,こちらのラプラス変換, 伝達関数を参照してください.
※このサイトで算出するカットオフ周波数は,上記の定義に基づき算出されています.上記カットオフ周波数の定義以外の方法に関しては, 対応していません.
ご質問にある -3dBとカットオフ周波数との関係についてですが,....自前の解説の中で,記述している事ではないので,本来私が 口を挟むことでは無いのですが.
私的な意見としては,一次フィルタにおいて,カットオフ周波数におけるフィルタの減衰比が-3dBであると,条件と結果の関係を示して いると考えます.
ただし,他の文献等で「-3dBとカットオフ周波数との関係を定義」としているものも存在することは否定しません.仮にこれを肯定した場合, カットオフ周波数fcを算出する過程で,周波数応答 g(ω) に-3dBを代入して ω または fc を求める必要が生じますが,そのようにfcの代数式を算出している 文献やフィルタの設計事例も,逆に見たことがありません.
ですから,ストレートに言えば,これらの定義はお互い矛盾しているのです. 実は,こうした文献間の 矛盾はよくあることです.しかし,この例ではカットオフ周波数という言葉の定義の矛盾 に過ぎないので, 設計業務の実務としては,Bode線図でSPEC化するなど意味の白黒をつけないことが,ビジネスライクというものかもしれませんね.
参考までに定義とは,
ある様々な事象に関してそれらに共通している本質的な概念の抽出事項
定義は,基本的なルールや法則的な側面も持ちます.電子回路の場合には,物理学上のパラメータ/法則かあるいは数学上の パラメータ/概念として多くのパラメータを置き換えて定義することができます.
こういった理由から,工学の分野では幸い比較的シンプルにパラメータを定義できるわけです.
[記事URL] http://okawa-denshi.jp/blog/?th=2009060400
カテゴリー:質問と回答(13)
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