20081204
3次多重帰還型フィルタ計算ツールの公開
3次多重帰還型ローパス・フィルタ計算ツール | 3次多重帰還型ハイパス・フィルタ計算ツール |
機能については,3次Sallen-Keyフィルタとほぼ同様です(3次Sallen-Key機能はこちらを参照). ただ,透過域でのゲインが多重帰還型ですので,設定できます.透過域でのゲインの値は上記リンクに記載がありますが, 3つの(部品の)回路定数によって決まります.たとえば,ローパス・フィルタであれば,透過域でのゲインは下式の通りです.
たとえば,K=-1に設定したいときに,R1+R2 が R4と一致するように設定されるのが理想ですが,指定系列の中から選定されるので 必ずしも一致しません.ですので,Kの(Kに限りませんが)精度を高めたい場合には,関連する部品の系列を大きく(選択肢を広く) 設定する必要があります.たとえばE12系列→E96系列になど.
特にハイパス・フィルタでは,3つのCの値によってKが決まりますので,抵抗値よりは,コンデンサのほうが誤差が一般に大きいので, Kの精度についても出にくいと思います.高精度で大きめE系列のフィルムコンデンサ等を選定するか,バッファーを介して下図のように 1次+2次の構成にするかと言ったところが対応策です.
Vi(s)→ | ω1 s+ω1 | → | K ω22 s2+2ζω2s+ω22 | →Vo(s) |
これまで公開していた2次の多重帰還型フィルタについても,同様なのですが,2次の場合,2つのパラメータ比によってゲインが 決まりますので,よく設定する K=-1 とする場合,2つのパラメータを同じ値にすることでKの精度が比較的高くできる場合もありました.
上の回路に示す3次多重帰還型フィルタについても,3次フィルタとして設定できるω1,ω2,ζ,K のすべての範囲を網羅することは できません.2次多重帰還型フィルタにも共通ですが,高い K と低い ζ の共設定が,一般に困難(僅かな回路定数の変動によって フィルタ性能が大きく変動)です.
3次フィルタとしては,C1がC2他にくらべて極端に小さい場合,3次フィルタとして設定できる範囲が小さくなります.ユーザー設定 されたパラメータが,フィルタとして設定が可能であるか否かは,3次Sallen-Keyツール同様にツール自身が判断します.逆に, ツール側でNGとしても,C1を大きくC2を小さい設定をマニュアルで入力することで,フィルタとして設定できる範囲が広がりますので, 回路定数の設定が可能になる場合も多いのでいろいろ試してみてください.
[記事URL] http://okawa-denshi.jp/blog/?th=2008120400
カテゴリー:フィルタ(20)
カテゴリー:フィルタ(20)