20080731

高次ローパスフィルタ伝達関数からハイパスフィルタをつくる

  1.  前の記事
  2. 次の記事 
高次ローパスフィルタ伝達関数からハイパスフィルタをつくる

これまでチェビシェフ・フィルタの理論チェビシェフ・フィルタの特徴 について書いてきました.今後,チェビシェフ・ハイパス・フィルタや逆チェビシェフ・フィルタについても書きたいと思っています. 逆チェビシェフ・フィルタを求める際,チェビシェフ・ローパス・フィルタの伝達関数から,ハイパス・フィルタへの変換するような, (利得軸を線対称に伝達関数の変換を行う)過程があります.

ここでは,逆チェビシェフ・フィルタの解説の前に,その方法について紹介しておきます.その方法は,特にチェビシェフに限った 変換方法ではなく,バターワースでも,その他のフィルタでも伝達関数であれば,簡単に実施できる方法です.



ある伝達関数をG(s)としたとき,周波数1[rad/s]を中心に利得軸を線対称に周波数特性を変換するには,(まず,その変換を図で示すと)

これを式で示すと,もとの伝達関数G(s)は,次のように示します.

  

簡単な式で,考え方も単純ですので,解説は必要ないかもしれませんが,さらっと説明しておくと, 1/sを周波数を対数(log)軸で見た場合,

  

負の成分になり,対数軸ベースで0dBを中心に反転することがわかると思います.反転する中心周波数は,0dBすなわちω=1[rad/s]ですので, 正規化フィルタが対象となります.よって,伝達関数からチェビシェフ・ハイパス・フィルタを設計する場合は, いったん正規化されたローパス・フィルタをつくり,それをハイパス・フィルタに変換するという手続きが効率的です.

その上で,正規化フィルタを任意のカットオフ周波数に変換して伝達関数ベースのフィルタがデザインされる方法が一般的です. 伝達関数計算ツールにこの周波数特性を反転させるツールを追加しました のでご利用ください.



たとえば,チェビシェフ・フィルタの場合,

8次チェビシェフ・ローパス・フィルタ




8次チェビシェフ・ハイパス・フィルタ

こんな感じで,周波数軸を高低反転して変換できます.ちなみに,極はこのように変換されています.

8次チェビシェフLPF

8次チェビシェフHPF


[記事URL] http://okawa-denshi.jp/blog/?th=2008073100
カテゴリー:フィルタ(20)