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20080317

伝達関数設計支援ツールの公開

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伝達関数の設計支援ツールを公開しました

これまでは伝達関数を次のように定義して,
  
α,βの数値列によって,伝達関数を入力していました.


たとえば次のように,極と零点で与えられる高次伝達関数
(s-z1)(s-z2)・・・(s-zn)

(s-p1)(s-p2)・・・(s-pn)

を設計する場合,これまでは,分子・分母をそれぞれ展開して,入力する必要がありました. 今回公開した伝達関数の設計支援ツールでは,極,零点を入力して『配置』のボタンを押すことで 既に入力されているα,βに対し展開した状態で極および零点の追加ができます.

極・零点配置の可能な,入力形式は数学的には次の2種類です.
  • 実数極
  • 複素数極,ただし Re±jIm の形式
本伝達関数ツールは物理系システムを対象としていますので,たとえば,極・零点に jPとjQ(P≠-Q)による2次系伝達関数は入力できません.極・零点はs平面上で実数軸を線対称になる位置に 必ず配置することになります.それは,蛇足かもしれませんが,2次系伝達関数の分母が as2+bs+c で与えられるとき,極は,

  p1,p2={-b±√(b2-4ac)}/2a

になります.反対に言えば,a,b,cが実数となる条件は,Re±jIm の形式ということです.

上記2項目の複素数極の入力方法には2種類の入力方法を用意しています.

  • 通常のRe,Im 座標の Re±jIm の形式 → ReとImを与える
  • 極座標 r exp(±jφ)の形式 → rとφを与える
φの単位は[rad]です.ちなみに r exp(±jφ) を通常のRe,Im 座標に変換すると(オイラーの定理より)次の通りです.
     r exp(±jφ)=r cosφ± jr sinφ


つづいて,2次系伝達関数の一般形として固定周波数ω0,減衰比ζのモデルがあります.たとえば次式
 
ω0とζを与えて,伝達関数を設計できます.そのままですが...ただし,既に入力済みのα,βに追加(掛け合わせ)します.)

つづいて,上記にて設計した伝達関数について特性をそのまま周波数スライドや,全体的なゲインの変更が可能です.伝達関数型の高次フィルタ設計においても便利です. 正規化フィルタ(カットオフ周波数ω0=1[rad]のフィルタ)からカットオフ周波数へのスライド等簡単です.


伝達関数のこういった機能が欲しい等,ご要望ありましたらこちらまでお寄せください.


[記事URL] http://okawa-denshi.jp/blog/?th=2008031700
カテゴリー:伝達関数ツール(15)