トランジスタの構造2

NPNまたはPNPの構造をもつ3端子の半導体デバイスをトランジスタといいます.トランジスタは,機構上大別してNPN型とPNP型の2種類がつくられています.


図3-3-3 トランジスタの回路図記号(npn)


図3-3-3 トランジスタの回路図記号(pnp)

図3-3-3はトランジスタの半導体構造と回路図記号を示しています.NPN型とPNP型では図のように回路図記号が異なります.トランジスタの端子は,NPN型PNP型とも同じ名称を使います.3極で構成されるうちセンターに位置する極(NPNのP極またはPNPのN極)がベース(B),ベース極のサイドに位置するうちの一方の極(NPNのN極,PNPのP極)がコレクタ(C),ベース極サイドのもう一方の極(NPNのN極,PNPのP極)がエミッタ(E)といいます.

半導体構造上コレクタとエミッタは同型の半導体ですが,コレクタとエミッタは機能上の名称ですので取り違えて使用することはできません.この記事では,物理的特徴としてNPN,PNPをあつかっていくのでコレクタ極とエミッタ極の半導体自体に,違いは無いものとして話を進めていきます.ただし,添加されるドープ電荷量等は,異なることが一般的で適時適正に設定していきます.

前回NPN型トランジスタについてコレクタ−エミッタ間の電圧印可を考えてみました(こちら参照).ここでは,図3-3-4に示す系のようにコレクタ−エミッタ間に電圧を与えつつ同時にベース−エミッタ間にも電圧を与えたときの特徴を考えます.


図3-3-4 トランジスタのバイアスと特徴

まず最初に,VCE=0[V]の条件におけるVBEの変化とトランジスタのエネルギー構造との関係を考えます.

VCE=0[V]の条件が与えられますので,コレクタおよびエミッタ極のフェルミ準位は同電位になります.その状態においてベース−エミッタ間に電圧が与えられますので,VBEに応じてベース極フェルミ準位はエミッタ電位に対して相対的に変化します.

VBE エネルギー構造
順バイアス
0[V]
逆バイアス

表3-3-1 VBEとエネルギー構造の関係

表3-3-1では,ベース−エミッタに対して順バイアス,0[V],逆バイアス印可でのトランジスタのエネルギー構造を示しています.VBE順バイアスでは,ダイオードにおける順バイアス印可と同様にバイアスによって障壁を埋め伝導帯の電子および価電子帯のホールの移動が可能になります.

VBE=0[V]では,伝導帯の電子および価電子帯のホールは,わずかな障壁ではありますが越えて移動することはほとんどありません.

つづいて,逆バイアスではダイオードにおける逆バイアス印可と同様にVBE=0[V]における障壁よりもさらに大きくなりますのでVBE=0[V]におけるキャリアの移動量よりもはるかに小さくほとんど通電しません.

ここでVBE順バイアス時,エネルギー構造のキャリアの分布に着目すると伝導帯では,コレクタからエミッタまでキャリアとなる電子が分布し外部から電界が与えられれば(VCEに相当)キャリアの移動(通電)が可能となる状態になっていることがイメージ的に捉えることができると思います.

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