ショットキーバリアダイオード

ここでは半導体と金属との接合について考えます.PN接合ダイオードでも半導体から電極を取り出す場合には,半導体に金属を接合する必要があります.


図3-2-12 金属とN型半導体のエネルギー構造



図3-2-13 金属とN型半導体の接合




図3-2-14 ショットキー障壁

図3-2-12 はN型半導体と金属それぞれのエネルギー構造を示しています.これらN型半導体と金属を接合すると両者の電位は等しくなります.

物体の電位は物体中の全キャリアの平均電位すなわちフェルミ準位ですので,両者のフェルミ準位がそろいます.図3-2-13 はフェルミ準位をそろえて示しています.

Si などの半導体はキャリア分布の中心に禁止帯があるため,金属中の自由電子が存在するエネルギー準位よりもN型半導体の伝導帯の自由電子の方が高いエネルギー準位に置かれ価電子帯は低いエネルギー準位におかれます.

するとN型半導体の自由電子は拡散によりエネルギー準位の低い金属側へ移動することができます.反対に金属側の自由電子はN型半導体への障壁があるため容易に移動することはできません.

その結果,金属との接合部分のN型半導体の自由電子は金属側へ流出し減少します.

それにより接合部分のN型半導体のキャリア分布が変化するためフェルミ準位の位置が変わります.といってもフェルミ準位そのものは外部から電位を与えられない限り移動しないので,フェルミ準位の位置に対し相対的に接合部分のN型半導体の電像帯と価電子帯のエネルギー準位が変化します.図3-2-14 は金属とN型半導体の接合後に自由電子の移動により変化したエネルギー構造を示しています.このようにして金属と半導体の間には障壁がつくられ,これをショットキー障壁と言います.

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