OKAWA Electric Design

エネルギーバンド

原子が単独で存在する場合周回する電子の軌道はとびとびのエネルギー準位(1)に配列されます.ここにもう1個の原子を近接させて配置すると2個の原子核のもつプラス電荷がつくる電界の分布に変化が起こり,それまで電子が周回していた軌道にも変化が起こります.


図3-1-4 Si 原子の近接配置による電子軌道分裂

電子軌道は,複数の原子核がもつプラス電荷の分布の増加によって,原子を周回する電子の電位(位置エネルギー)が下がり原子間のエネルギー準位を下げます.それによって複数の原子を周回するようになる場合があります.この状態を共有結合といいます.(右記参照)

このように,複数の原子がさらに複数の電子軌道をつくり複数の電子軌道群を形成します.こうしてつくられた電子軌道群は,各電子軌道間のエネルギー準位差(電位差)が小さくなりリニア(連続)領域に近い状態になります.このように非常に多くの電子軌道がリニア状態となったエネルギー帯域をエネルギーバンドといいます.

価電子が共有される電子軌道群(エネルギーバンド)を価電子帯,また電子軌道が全く存在しないエネルギーバンドを禁止帯または禁制帯といいます.また最外殻にある自由電子によりつくられるエネルギーバンドを伝導帯といいます.

(1)エネルギー準位

エネルギー準位は,原子核などの電荷がつくる電界中の電子などの位置エネルギーを示す物理量です.一般に電界中における単位電荷の位置エネルギーは電位[V]によって示します.電位は1[C]あたりの位置エネルギーを示します.(均一)電界中にある電荷Q[C] のもつ位置エネルギーE[J] はE=QVと示せます.

これと同様に,エネルギー準位は半導体など材料中の電子の振る舞いを考える場合に,電子1個あたりが位置するエネルギーを示す尺度として有効です.単位はエレクトロンボルト[eV]を使います.換算される尺度は電子1個あたりの位置エネルギーで

  1[eV]=1.60×10-19[J] 式3-1-1

の関係があります.一般にエレクトロンボルト[eV] はエネルギーに換算されますが,その性質は実は電位[V]に対応させた方がわかりやすいと私は思っています.

電位の単位V(ボルト)は[J/C] で単位電荷あたりの位置エネルギーということです.エレクトロンボルトは[Ve/ 個=J/ 個] で電子1個あたりのエネルギーです.ようするにエネルギーを測る尺度の基準を1[C] とするか1.60×10-19[C] とするかの違いになります.