ショットキーバリアダイオード2
図3-2-15 ショットキー障壁と順方向バイアス
図3-2-16 ショットキー障壁と逆方向バイアス
金属とN型半導体の接合に電圧を与えた時のエネルギー構造を図3-2-15 と図3-2-16に示しています.
図3-2-15 は外部のバイアス(電圧)によってN型半導体のエネルギー準位を通常より高い位置に設定しています.するとN型半導体伝導帯の自由電子はエネルギー準位の低い金属側へ移動することが可能です.
つづいて上記とは反対のバイアスを与えた場合のエネルギー構造を図3-2-16 に示しています.金属側の自由電子はN型半導体へのエネルギー準位の高い障壁があるため容易に乗り越えることができません.そのため金属側からN型半導体への電子の移動しにくい特徴があります.
このように金属とN型半導体の接合の場合もPN接合と同様に整流作用があることがわかると思います.このショットキー障壁による整流作用を利用したダイオードをショットキーダイオード(ショットキーバリアダイオード)といいます.
ショットキーダイオードの回路記号は,図3-2-17 のように示されます.極性は金属側の極がアノード,N型半導体側の極がカソードになります.
図3-2-17 ショットキーダイオードの回路図記号と極性
金属と不純物半導体の接合では,金属の種類,半導体中のドーピング元素の種類またはドープ量により整流作用が必ず起こるとは限らず,オーム性の接触をつくる事も可能です.たとえば,ドーピングされる元素が導体である場合,ドーピング元素を半導体に接触させ電極として電気的な接続をする方法が可能です.