電界1
電子回路をマクロ的にみればすべて電荷の運動になります.電子回路の中で電子(キャリア)が動くということは回路内の電荷に電気力が作用するからです.その電気力が作用する空間を電界といいます.
電界は電荷によってつくられます.電子回路を構成する導体中の電界は,電路断面において均一に分布します.そのような均一な電界は,電荷を均一な平面状に配置したときにつくられます.ここではこうした均一電界について理解します.この知識は電子部品内部の電位(電位セクション参照)勾配に関する基本的な概念となります.
電界の大きさは電界中に単位電荷(1[C] の電荷)を置いたときにその単位電荷に作用する力と定義(1) されています.電界の単位はニュートン毎クーロン[N/C] を使います.
最初に点電荷がつくる電界を考えます.図1-1-3 のように電荷量をQ1 の電荷がつくる電界は,距離r の位置に1[C] の電荷の受ける力なので2点電荷間に及ぶ電気力より(式1-1-2 のQ2 を1[C] としたとき)式1-1-3 のように導けます.
図1-1-4 において電界の向きは点電荷Q1 を中心に放射状になります.このように電界を図示する場合,一般に図1-1-4 に示す矢印線を用います.この線は電気力線といいます.電気力線は矢印によって電界の向きを示し,電気力線の本数の粗密によって電界の強さを示します.電界の強い箇所は線が密になり,弱いところでは粗になります.図1-1-4 の場合電荷中心に近づくほど線は密になり,電荷から離れるほど粗になります.