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伝達関数の過渡応答

伝達関数にモデル化された回路に信号を与えたとき,伝達関数と指令関数(入力関数)から過渡応答を求めてみましょう.

まずはじめに,伝達関数に与える入力関数(R(s))について,例として次の表2-3-1に示します.

関数名 波形 時間関数 ラプラス関数
ステップ関数
1 (t≧0)
0 (t < 0)
ランプ関数 t
減衰指数関数 eat

表2-3-1 指令関数の例

表2-3-1は,入力時間関数をラプラス変換したものです.表のステップ関数の入力に対する応答をステップ応答 ,ランプ関数の入力に対する伝達関数の応答をランプ応答といいます.

ここでは,前セクションで伝達関数を導いた系(下図)を使ってステップ応答を求めます.




伝達関数
 → C(s)

図2-3-12 ステップ応答系

  

ここで分母を部分分数に分解すると...(逆ラプラス変換について詳しい解説はこちらを参照

  

逆ラプラス変換すると

   式2-3-14

ステップ応答関数を求めることができました.



【質問】2008/02/08
過渡応答ってそもそもなんでしょうか?


【回答】2008/02/08
言葉の意味としては,あるラプラスおよび時間関数がt=∞[s]において収束すると仮定して(収束しなくても可),t=∞[s]における(定常)状態へ向かって推移する過渡現象(対時間変化)を示しています.
伝達関数の過渡応答の場合,伝達関数をG(s),応答関数をC(s),指令関数(表2-3-1参照)をR(s)とすると,

  C(s)=G(s)R(s)

となり,C(s)のラプラス逆変換(L-1[C(s)])によって,t=0[s]から∞[s]に至る過渡応答(時間関数)が得られます.



【質問】2009/06/01
ステップ応答とランプ応答の違いを教えてください


【回答】2009/06/25
次のような一般の信号伝達系を例に考えます.

R(s)→ G(s) →C(s)

ある信号伝達系G(s)にR(s)を与えたときに,系の応答がC(s)で与えられる場合について. G(s)のシステムに与える信号R(s)が,表2-3-1に示すようなステップ関数を与える場合の応答を,ステップ応答といいます.

また,信号R(s)が表2-3-1に示すようなランプ関数を与える場合の応答を,ランプ応答といいます.