トランス2
相互インダクタンスと自己インダクタンスをもつトランスについてインダクタンスの合成を考えます.図1-5-26は前記した図1-5-25 のトランスモデルを使って,一次,二次のコイルがつくる磁束がそれぞれ足しあわせる方向に接続したものです.
この場合も先ほどと同様の考え方をして,一次コイルのつくる磁束と二次コイルのつくる磁束の重ね合わせによって合成インダクタンスを求めることができます.各インダクタンスなどパラメータは先と同様とします.
図においてV1,V2 は式1-5-66 より次のように与えられます.
合成インダクタンスをLa としたときの関係があるので
となりますので
上式の関係が得られます.
つづいて図1-5-27 は一次,二次のコイルがつくる磁束の方向が反対に接続したものです.そのため各コイルの磁束はお互いに打ち消しあいます.このときの各コイルの電圧V1,V2 はつぎのように示すことができます.
式1-5-69 と極性の異なる点は二次コイルに流れる電流の極性が反対であるためです.さらに図1-5-27 の合成インダクタンスをLb とするとの関係があります.この関係の場合も先に示した関係と異なる理由は,V2 が反対の極性で接続されているためです.この関係に式1-5-71 を代入すると
となりますので両辺をで割ると
上式の関係が得られます.