OKAWA Electric Design

トランス

相互誘導の作用を利用すると,一次側の回路から二次側の回路へ電力を磁気エネルギーを介して伝達することができます.このような原理の電子部品をトランスといいます.

図1-5-25(a) はトランスの物理モデルで一次,二次コイルにそれぞれ電源を接続したものです.(b)はそれを回路図で示したものです.図中のはトランスの回路図記号です.この回路図記号中の黒点・は巻き線の極性(1) を示します.図1-5-25 において一次コイルの自己インダクタンスをL1,二次コイルの自己インダクタンスをL2,相互インダクタンスをM とするとつぎの関係があります.

式1-5-66解説

式1-5-66 を導きます.トランスは相互誘導作用そのものの現象を使っていますので,一次側の電路と二次側の電路に鎖交する磁束は一次,二次それぞれが相互に誘導する磁束の重ね合わせによって求めることができます.一次,二次の電路が相互に誘導せず単独で磁束をつくる場合,それぞれの磁束をΦ1,Φ2 とし,電路1が電路2に誘導する磁束をΦ12 とし,電路2が電路1に誘導する磁束をΦ21 とし磁束を重ね合わせの理に従って合成すると

となります.この式に単位電流あたりの電路の鎖交磁束数であるインダクタンスを導入すると(式1-5-45,式1-5-48 参照)

よって

と導くことができます.


← 戻る  1 2  次へ →