実効値1
電源に負荷を接続した系で負荷の大きさが一定であるとき,電源が供給する電力を考えます.まず,電源が直流電源の場合,電圧と電流は一定となるので電源が供給する電力は常に一定になります.
しかし,電源が電圧,電流が時間とともに変化する電源では電力は常に変化します.これらの電源の行う仕事および電力の一般関係は次のようになります.
電圧,電流が時間とともに変化する電源でも周期性のある電源の場合,直流電源のように電力の変動を均一化して近似することができます.
たとえば図1-3-3 のように,正弦波交流電源と抵抗R を接続した系について電力および仕事(エネルギー消費)を計算してみましょう.
まず正弦波交流電源の電圧,電流をv(t),i(t) とすると式1-3-7 のように示せます.
ただし電流の振幅はの関係があります.
式1-3-6 と式1-3-7 より電力はつぎのようになります.
図1-3-4は電圧,電流波形と電力波形の関係を示しています.正弦波交流電源の電力は,の一定バイアスの成分と電源周波数の2倍の振動成分からなることがわかります.
そこで,交流電源の電力を簡易的に求めるとき,振動成分を無視して一定バイアスの成分のみで近似する場合があります.その近似式は式1-3-9 となります.
交流の電力を直流のように電圧,電流からP=IV として簡単に近似して求める方法があります.その場合,交流の電圧,電流を電力算出用のパラメータに換算する必要があります.この例の正弦波交流電源の場合には,式1-3-9 より
この換算された電圧,電流を実効値といいます.記号につくRMS(Root Mean Square)はその記号が実効値であることを示します.一般に商用電源について電圧を交流100[V] と言うように,交流の電圧を言う場合,実効値で示すのが慣例です.