OKAWA Electric Design

不純物半導体

真性半導体に不純物をドーピングすることで,意図的にホールまたは自由電子をつくることができます.P型半導体のホールを作ることができる添加物質をアクセプタ(1),N型半導体の自由電子を作ることができる添加物質をドナー(2) といいます.


図3-1-12 不純物半導体のエネルギーバンド

図1-3-11 はP型半導体とN型半導体のエネルギーバンドの配置を示しています.これらの不純物半導体のエネルギーバンドはドーピングによって真性半導体の状態からエネルギー構造が変化し,新たにアクセプタバンド,ドナーバンドがつくられます.これらのバンドは添加される不純物が半導体元素よりも電荷量が1価大きいまたは小さいために,周囲に比べて相対的に電荷量をもつことによりつくられたエネルギーバンドです.

具体的にはドナーバンドは半導体元素よりも+1価大きい元素がドーピングされす.また,アクセプタバンドも同様に半導体元素よりも1価小さい元素がドーピングされているため結晶内にマイナスの電荷をもち,その電気力によって,1価のホールを電気力によって収容できます.ドナーバンドおよびアクセプタバンドはこのようなメカニズムによりつくられます.

そのためアクセプタバンドおよびドナーバンドの電荷量がバランスはホールまたは自由電子が拘束されることによって安定します.しかし,共有結合においては価電子の過不足のある状態で不安定となっています.またこの状態とは逆に,共有結合において安定状態となるとき,アクセプタバンドおよびドナーバンドの電荷量バランスが不安定となります.このように両者は,電荷バランスと共有結合上の安定の両方を満足する状態はなく,常に安定と不安定の相反する状態を併せもっています.そのため,両者のエネルギー的な位置関係(電位差)は近く小さなエネルギー励起であっても両者の状態の行き来は容易となります.

よってアクセプタがつくるホールは容易に価電子帯に励起することができ,同様にドナーが供給する電子も容易に伝導帯に励起することができます.これらのホールおよび電子はキャリアとして作用し,こうした仕組みによってP型半導体およびN型半導体は,電気伝導性に優れた特性をもつことができます.