電気伝導
物質に電界を与えると物質内のキャリアが電気力を受け移動することによって電流が生じます.このときの電流の大きさは物質内のキャリアの濃度に関係しています.(詳細はこちらを参照)
図3-1-8は,導体,半導体,絶縁体のエネルギーバンド構造について図示しています.
図3-1-8 物質のエネルギーバンド構造
一般にキャリアの濃度が大きい場合に電気伝導性が高く,その物質は導体に分類されます.図3-1-8(導体)に示すエネルギーバンド構造の特徴は,図の左から価電子帯にホールを多くもつ構造,その右隣は伝導帯に自由電子を多く持つ構造,さらにその右隣は伝導帯に自由電子を多く持ち価電子帯にホールを多くもつ構造です.
図3-1-8に示す導体のエネルギーバンド構造は,いずれの場合も物質内のキャリアが多く保有できるエネルギーバンド構造として示しています.
反対に,キャリア濃度が小さい場合に電気伝導性が低く,その物質は絶縁体に分類されます.図3-1-8(絶縁体)に示すエネルギーバンド構造の特徴は,価電子帯は電子で満たされホールが少なく,伝導帯にも自由電子が少ない状態です.
導体と絶縁体の中間的な存在を示しているのが半導体です.半導体は価電子帯と伝導帯との間の禁止帯(エネルギーギャップ)が小さく絶縁体よりも熱励起等によって伝導帯,価電子帯にキャリアを多く保有していることが特徴です.
ただし,すべての物質が図3-1-8のエネルギーバンド構造と電気伝導性とを関係づけるものではありません.Si半導体内の電気伝導性に関するイメージとして捉えておきましょう.