フーリエ係数
周期関数f(t) がフーリエ級数展開可能な場合,上式のようにa0の直流成分と正弦(sin)波,余弦(cos)波の要素に分解できます.sinおよびcosの大きさ成分(この式におけるan,bn)をフーリエ係数といいます.このページではa0の抽出,anの抽出,bnの抽出,それぞれの抽出方法について考えます.
(1) a0の抽出
a0はf(t)を構成する直流成分で,その他はsin ,cos のプラスマイナスを交番する成分になります.そこでa0の抽出にはf(t) の繰り返し周期(T とする)の時間範囲で積分することでsin またはcos の成分がプラスとマイナスで相殺され直流成分のみを抽出することができます.それを数式で示すと
式2-2-4 |
(2)anの抽出
式2-2-5 |
すると,anに掛かるcos2 nω0tの成分は常にプラスとなり基本周期T で積分するとanに関わる要素を抽出できます.
一方その他の成分,a0(直流成分)についてはcos nω0tを掛けることにより正負を交番し,基本周期Tで積分することによって正負で相殺し0になります.
さらにsinの成分と,cosの成分(cos nω0t以外)についても,cos nω0tを掛けても正負を交番する波形となります.これも繰り返し周期T の間で積分することによって正負で相殺し0になります.
以上の内容を数式を使って説明すると,式2-2-5は次式のように展開できます.
ここで,a0の直流成分を示す項を A ,cosの項を B ,sinの項をCと示すと
・Aについて
ここで周期T と基本波成分の角周波数ω0 の関係はなのでAについては次のようになります.
ただし n>0 | |
ただし n=0 |
・Bについて
まず最初にcosαcosβ の形を変更します.加法定理より
上式の関係があるので,BのΣの中身について変形します.ただしm≠n とします.
つづいてm=n の場合
・Cについて
最初にsinαsinβ の形を変更します.加法定理より
上式の関係があるので,BのΣの中身について変形します.ただしm≠n とします.
つづいてm=n の場合
以上よりanの抽出は
A=a0 | (n = 0) | |
A=0 | (n > 0) | |
B=0 | (n = 0) | |
B=an | (n > 0) | |
C=0 | (n = 0) | |
C=0 | (n > 0) |
よって
A+B+C=an
です.ここでanの抽出式(式2-2-5)は,(1)a0の抽出で導いた関係(式2-2-4)も含む結果となるので統合して
とひとつの式で示すことができ,式2-2-2 のanについての関係を説明できます.
(3)bnの抽出
bnはf(t)を構成するsin nω0tの大きさを示す成分です.
式2-2-6 |
このbnの抽出はanと考え方は同様で,f(t)にsin nω0tをかけたものを基本周期T 間で積分します.すると,bnに掛かるsin2 nω0tの成分は常にプラスとなり基本周期T で積分するとbnに関わる要素を抽出できます.
一方その他の成分である,sinの成分(sin nω0t以外)と,cosの成分についても,sin nω0tを掛けても正負を交番する波形となります.これも繰り返し周期T の間で積分することによって正負で相殺し0になります.
数式による説明は,上記と考え方は同様ですので割愛します.bnは