ジュール熱
図1-3-1 は導体中を自由電子が移動する様子をモデルにしたものです.自由電子は電界から電気力を受け移動します.このとき自由電子は導体を構成する分子に衝突しながら流れます.分子は力学的なエネルギーを受けて振動し,これと同時に自由電子は運動エネルギーを失います.こうして自由電子は電気力による加速と,分子への衝突による減速によって全体的な自由電子の流れは均衡し一定となります.こうして電源の出力するエネルギーは分子振動すなわち熱振動へと変化します.このようにして発生する熱をジュール熱(1) といいます.
図1-3-2 は導体に電源を接続した系とその系に流れる電荷の電位(単位電荷の位置エネルギー)を図示しています.電源から流れ出る電荷Q が,電荷の位置エネルギーである電位を電圧V 変化させるときになされる仕事(エネルギー)はジュール熱として導体R の温度上昇に消費されます.その仕事は次のように示されます.(詳細は電位のセクション参照)
E=QV | 式1-3-1 | ジュール熱:E[J] 移動電荷:Q[C] 電位差:V[V] |
ジュール熱および仕事の単位はジュール[J]を使用します.
ここで電荷Q[C] は,単位時間あたりの移動電荷量を示す電流I[A] を通電時間で積分したものです.よってジュール熱E[J] は式1-3-2 のように示すことができます.