真性半導体

物質について電気伝導性の観点から分類すると，導体，半導体，絶縁体に大別できます．シリコンはこの中では半導体に分類されます．

不純物を含まない純粋な半導体結晶を真性半導体といいます．図3-1-5 はSi（シリコン）の真性半導体結晶を平面状に示したモデルです．この図にあるは価電子を示し価電子はすべて結合に使用されすべての価電子は原子間に共有されています．

図3-1-5 Si 真性半導体

シリコンの真性半導体に電界を与えると，価電子は共有結合によって拘束されほとんど移動せず，伝導帯にはほとんど電子を持たないことから，自由に移動することのできる電子（自由電子）が存在しないため電流を流し難い特徴があります．

図3-1-6 Si 真性半導体の励起

ところがこのシリコン真性半導体に外部から熱などのエネルギーを与えると価電子帯にある電子が熱励起され伝導帯にまで電子を移動させることができます．このように電子を高いエネルギー準位に移動させることを励起といいます．また，熱により励起される電子を熱電子といいます．このような励起は熱によるものだけでなく光エネルギーによっても光電効果の現象によって同様に伝導帯へ電子を励起させることができます．光により励起される電子を光電子といいます．こうしたエネルギーを与えることにより伝導帯に励起され電子が増加します．伝導帯は原子の拘束力が弱く小さな電界でも自由に移動することができ電気伝導を促します．