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電磁誘導

図1-5-13 のように環状の電路に磁石を近づけたり遠ざけたりして電路に磁束の変化を与えると電圧を生じます.

この現象は電磁誘導と呼ばれます.このときに発生する電圧は式1-5-38 の関係があります.

式中の[Wb] は電路と鎖交する磁束の本数を示します.またN は電路の巻き数(ターン数)を示します.

磁気誘導によって発生する電圧は電路の磁束変化を妨げる電流を発生させる方向に極性をもちます.よって図1-5-13(左)の場合,電路に磁石N 極側を近づけると電路内の磁束が増加するので図(左)に示すの電流を流す方向に電圧が生じ,図1-5-13(右)の場合,電路に磁石N 極側を遠ざけると電路内の磁束が減少するので図(右)に示すの電流を流す方向に電圧が生じます.

またこれと反対に図1-5-14 のように環状の電路に電圧V を与えるとき電路内に発生する磁束Φ は式1-5-39 の関係があります.

式中の[Wb] は電路と鎖交する磁束の本数を示します.またN は電路の巻き数(ターン数)を示します.

与える電圧によって電路に流れる電流変化の方向と磁束の関係は,右ねじの法則に従うため符号がプラスになります.式1-5-38 とは値が同じで符号が反対の関係になります.

これらの関係より図1-5-15 のように2つの電路を組み合わせたとき,電路1 によってつくられた磁束Φ1 の一部が電路2 に鎖交し,電路1 に式1-5-39 に示す磁束変化が起こり,電路2 にも変化がおよぶため電路2 に電圧が発生する.このような現象を相互誘導といいます.

このとき電力を供給する電路1側を一次回路,電磁誘導をうける電路2側を二次回路といいます.

一次回路と二次回路の関係は両方の電路を共通に鎖交する磁束によって関係を持ちます.

そのため両電路の位置関係や透磁率に変化がなければ,電路2 に鎖交する磁束Φ2 は電路1 がつくる磁束Φ1 に比例する特徴があります.両電路の磁束に関する比例定数をk とすると式1-5-40 のように示すことができます.

このときのk は電路1 の磁束が電路2 に鎖交する割合を示しています.その割合であるk は結合係数といいます.結合係数k は比ですので単位は無く,k は0 ≤ k≤ 1 の範囲になります.また,電路1 がつくる磁束で電路2 に鎖交しない磁束は漏れ磁束と呼ばれます.

つづいて結合係数を使ってV1V2 の関係を示します.V1V2 はそれぞれ次のように与えられます.

これらの式に式1-5-40 を代入して比を求めると

のような関係になります.よって一次回路と二次回路の電圧比はそれぞれの電路の巻き線の比に比例しさらに結合係数に比例する関係があります.



【質問】2009/06/25

ある環状の電路に電圧Vを加えた場合の式1-5-39と式1-5-38の関係についてご質問させていただきます。

ある環状の電路に電圧Vを加えた場合式1-5-39により磁束が変化し、その磁束変化により式1-5-38の逆起電力vが生じることになりますが、両式の値は同じなので、合計の電圧はゼロになります。そうすると電流の変化も磁束の変化も生じないことになりますがどのように理解すればよいでしょうか。「vはVに限りなく近い値だがVとイコールではなく、Vよりは小さい」という理解でよいでしょうか?


【回答】2009/06/26

電路に与える電池電圧V と 電磁誘導による励起電圧v の捉え方について誤解されているように思いましたのでVとvの相違について,図1-5-14を使って解説します.

図1-5-14は,電路に与える電池電圧Vにより磁束変化を与えている状態で,さきほどで言う前者になります.ここで,電流と磁束の正の方向については,右ねじの法則に従って正とします.簡単に言えば図1-5-14の中に登場する矢印の方向を正としますよということです.

ここで,仮に電池を取り外して,この電路に外部から先ほどと同様の磁束変化を先ほど同様正の方向に与えた場合を考えます.この時,電路は,この磁束変化を妨げる方向に電流を流そうとします(ただし,電路両端は接続されていないので流れない).この励起される電流の向きは,先ほどと反対(電路矢印に対し負)になります.

よってこの電路が電磁誘導によって励起された電圧vは,スカラー値は先ほどのVと同じですが負ということになります.ここで,改めて電路にかかっている電圧の側面だけで考えた場合,先ほど電池によって与えたプラス側にはプラスが励起されている事がわかると思います.

ですから,場で考えれば,電場主導で磁場を作っても,磁場主導で電場を作っても,物理的には全く同じ場が作られるということになります.

ご質問の回答としては,電流・電圧や磁束変化を互いにうち消す方向には働きません.どちらかといえば磁束の発生とその磁束の測定といった関係に近く互いに影響しないものと捉えても良いかもしれません.



【追記】2009/06/26

再度,ご質問をいただいたので追記します.上記前者の電路と後者の電路が重なるように近い位置にある場合,Vとvの関係は電池負端を基準に考えると,V≒-vです.Vおよびvはそれぞれ電位差を示していて両者の基準(電圧の正負の向き)が異なっています,仮に物理的な位置に対する電位を測定した場合,両者の電路は近い位置であればほぼ同電位です.

Vおよびv電位差の正負の基準が異なる理由は,上記で説明したように両者の電路で電流の向きが逆のためです.別の言い方をすると磁束変化の向きに対して右ねじの方向を正としているからです.

蛇足ですが

数式のマイナスは,電流・電圧などどちらの向きを正として記述するのかと言う定義付け次第ですからあまり振り回されないように.それから,数式から空間/場をイメージしていくのではなく,現実的なイメージから場をそして数式をひもとくように心がけてみてください.